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イタリア13世紀の詩人であり政治家のダンテ・アリギエーリは、政治の腐敗と戦うためにに文学に向ったといいます。

ダンテの神曲の古典を今現在知っている人はどれくらいいらっしゃるでしょうか。ダンテの代表作『神曲』は、地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部から成る長編叙事詩であり、これが元になりイタリア語という言語の基盤がつくられたそうです。今でもイタリア語の基準は、トスカーナにあるのは、このダンテの神曲がトスカーナ方言で書かれたことが元になっていると言われています。

この13・14世紀のイタリアは、まだイタリアの国として統一しておらず、小さな小国が小競り合いをしていた時代。ルネッサンス前の混沌とした背景があります。

イタリア文学を学んでいた時のノートは倉庫の中に眠っていて、今見る事ができないのですが、記憶をたどっていくと、昔も今も人間のやっていることは同じという当時の印象が蘇ります。

生活様式や時代は違っても、人は嫉妬をし、裏切り、自己利益のために働き、またその反対に正義や真義に向って戦う人もいる。どの時代であっても人の根本である魂は、変わらない。そんなことを学んだように思います。

2015年、世界の平均気温は歴史上最も上昇しました。今日の地球環境はますます厳しい状況にあります。インドでは、2016年5月に51℃を記録し、暑さが原因で440人以上が亡くなりました。現在の日本の最高気温は41℃です。気候変動は、目に見える形で上昇を続けています。これは人類に対する、最も切迫した問題です。

私達は、この事実を知っても尚、原発を再稼働し、戦争し、核開発を行い、枯渇性資源を使いつづけています。生きるという根底の条件を危機にさらしてまで。享楽の中で、近い将来食べ物や水がない状態を想像できないかのように。

学術的な研究によると、温暖化の加速を止める事は今や不可能で、後戻りできない状況にまできています。私達は今後ますます、自然災害や巨大危機に立ち向かっていかないといけません。すでに被害に遭われている地域も多いと思います。

産業革命以来、大量生産のモノで生活が潤い、消費を謳歌してきた時代。そして、その対価として、今私達は深刻な環境変化に対応していかないといけなくなりました。今のままではいけないと知りつつ、人は享楽を続けているような状況でしょうか、特に先進諸国では。さらに金融や経済界では、大きな危機がささやかれてもいます。

本来人間は100才近く生きられるといいます。世界で一番長生きが多い里~中国・広西巴馬や最近ニュースになった南イタリアのアッチャロリ(Acciaroli)。その生活は素朴で質素、現代の先進技術や食品加工物や添加物、経済的な発展等が普及していない地域です。そのような生き方が本来あるべき生き方なのかもしれないと思わざるをえません。都会の生活はストレスも多く、食もある意味少しずつ寿命を縮めるものを取るしかありません。

経済的な発展が未来においてどれほど豊かになるのでしょうか。それと引換に何かを失うことも明白です。今後の未来、それは現代の私達が考え選択していかなければ行けない事なのでしょう。

ローマの繁栄時代は、ギリシャの文明を引き継ぎ、豊楽を謳歌した時代だったと言います。当時の文明では最先端をいっていたのだと思います。しかし、その時代においてさえ、地球を危機にさらすことはありませんでした。

この30年の間に、地球環境の悪化による自然災害や人工的な汚染(食や環境)によって生きるという根源が危ぶまれる時代、ますます個々の生き方が問われるのではないでしょうか。環境や経済的状況が生きづらい社会において、自分は何を選択してくのかということを。

冒頭の写真は、ロンドンのある教会のものです。湾曲した窓枠がムンクの叫びや次元のワープを想起させます。何百年何万年を経ても真理はそのままであると思います。教会建築の美に触れ、人の真心に触れ、残された時間を人として少しはまともな道を歩んでいければと考える今日この頃です。

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